ラーゲリより愛をこめて            私のベスト邦画に比べておとなしめでこのぐらいなら楽に見れると思いました

 最近 二宮和也主演のラーゲリより愛をこめてを見て私の今まで見た邦画のベスト3作品を思い出しました。全て白黒映画で(一作品は意図的カラーを外してるのですが)人間の條件小林正樹監督) 浮雲成瀬巳喜男監督) 泥の河小栗康平監督)なのですが.この中では今から60年以上前の作品の人間の條件(全6部 全部見ると10時間以上の作品)が私のベスト1だと思う作品でこの作品は劇場ではなく年始の特番で一挙上映をテレビで見たのですがこれ程長い映画なのに一切飽きることなく見続けていた記憶があります。内容としては正義感の塊のような人間の一生を太平洋戦争の戦前戦後の葛藤を描いたものでしたが元々優秀な人物でうまく世渡りをしていけば楽に行けるのにその所属ごとの問題点にことごとく抵抗していく人間を仲代達也が演じたものでしたが私など到底できないのものでこんな人間はまずいないと思ったものでした。ラストのシベリア抑留でのシーンがラーゲリを見て思い出した場面なのですが.人間の條件の方は救いの無い終わり方で年齢を経た現在ではつらくて見れない場面だと思うのですが二宮さんの方なら許容範囲だと思いました。


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 人間の條件を撮った小林正樹監督はもともとは抒情的な作品を撮っていたと思うのですが人間の條件から社会派の監督に変貌したように思います。この後撮った切腹(1962)という作品は私は彼の作品では次に好きな作品です。10年程前一命というタイトルで市川海老蔵主演で再映画もされている面白い内容なのですが.断然切腹の方が良い作品だと思います。この時代の仲代達矢の演技は最高潮のためでもあると思うのですがやはり監督の演出力の差かなと思います。切腹カンヌ映画祭でも特別賞を取っているのですが当然のように思います。


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ヒュー ハドソン          今年亡くなられたのですがこの人も含めて英映画で印象に残っているシーンは走っているところです

 晩年はアメリカでも話題作を発表していたトニー リチャードソン監督はイギリスのフリーシネマ(ドキュメンタリータッチな今までにあまりない表現方法)という映画の波の牽引役のような人物でした。有名監督の場合(例えばクリストファー ノーランのような監督もイギリス出身)出身地と違った場所(ハリウッドなど)で活躍している人物がいると思うのですが.しっかりイギリスを主体にしていたような印象を受ける監督でした。私が彼の作品を初めて見たのが長距離ランナーの孤独(1962)という作品で感化院(非行少年を更生させる保護施設)に入っている少年の抵抗を描いているもので.内容としては窃盗のプロのような少年(逃げ足が速い為)がクロスカントリーレースで権威を付けをしたい感化院長に反抗してトップの状態でゴールの前に行きながらゴール前で立ち止まって抵抗するというものでかなりショッキングな作品だと思いました。


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 今年の初めの方に亡くなれたヒュー ハドソンは作品の方は知らなくても現在でもCM等で良く音楽が使われている炎のランナー(1981)という作品で有名な監督でした。映画の内容としてはイギリス人のケンブリッジ大学の一人はユダヤ教徒の学生ともう一人は聖職者の学生の友情も含めた物語でした。神様の為に走る一人と偏見に立ち向うために走る一人を安息日に走れないエピソードなどを付け加えて感動的仕上げた作品で.音楽家ヴァンゲリスのテーマ曲を有効に使い巧みに演出してその年のアカデミー作品賞を受賞しました。この時代はハドソンはデビューしたばかりでしたので期待したのでしたがその後はもう一つだった気がします。

 


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サウンド オブ サイレンス        JFK暗殺から60年経ちましたこの曲はS&Gが彼の死に触発されて発表しましたが違ったところで有名になった印象があります

 ジョンFケネディがダラスで暗殺されて丁度今年の11月で60年になるのですが.当時サイモンとガーファンクルの曲担当のポールサイモンがこの事件に触発されてこの曲を発表しました。そしてこの曲は後に公開されて今でも名作と言われているダスティホフマン出世作と言われている映画で有名になりました。                                                                                  ダスティホフマンですが.身長が165㎝程度で顔も若い時から同じように小柄なトム・クルーズのようなイケメンではないのですが.そんな彼を一躍有名にしたのが卒業マイク ニコルズ監督 1967)という作品でこの作品が彼をスターにした印象があります。内容的には親子ほど離れた中年の女性との不倫の話で取り立てる程の内容は無く全編を通じてのサイモンとガーファンクルの曲 スカボローフェアミセスロビンソンなどの曲が素晴らしいと思うぐらいで.作品的な評価は高いようですが何か雰囲気だけが良い映画という印象が私自身にはあります。ラストシーンの少し前にある教会からの花嫁強奪シーンが今でもドラマでも使われており有名ですが.私はラストで逃げる二人が先に不安を感じているシーンが好きでそこで流れているサウンドオブサイレンスがとても効果的だと思いました。


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  他に音楽が効果的だと思うのがビージーズの名曲で彩られた小さな恋のメロディワリス フセイン監督 1971年)という映画です。当時アイドル的な人気を誇ったトレーシーハイドの可愛さが映画がヒットした要因の一つですが.しかし 幼い男女の恋の逃避行の映画で内容的には大したことなかったようにも思います。私自身は劇中曲担当のビージーズは素晴らしかったためにその音楽が一番の要因だと思う作品でした。


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バトルロワイアル               元先生役のビートたけしと深作欣二の凄さを感じた作品でした 

 バトルロワイアル深作欣二監督 2000)という作品は中学生が法律によ最後の一人以外全員死ぬまで殺し合いをするという作品で当時PTA団体などからかなりのクレームがあった作品ですが.この作品を撮った監督はあらゆるジャンルで高い評価を受けていた深作欣二という人なのです。最初この作品を見た時に彼の最初の大ヒット作の仁義なき戦い(1973)をふと思い出しました。彼はこの当時は東映という高倉健鶴田浩二が出ていた任侠映画の有名な映画会社の所属でしたがそれを全く否定するような内容だったからです。任侠映画というのは義理人情を重んじて一般の人には手を出さないようなものでしたがチンピラが集団で相手を仁義も何もなく殺しまくるような映画を作って大成功させてしまったのです。その後はやくざ映画は抗争で相手を叩き潰すような映画ばかりになり任侠物など殆ど作られなくなってしまったのです。彼が凄いと思うのは時代劇というジャンルでもそれまでにないようなアクション物の傑作柳生一族の陰謀(1978)という今までにないような大作を作ってしまいました。


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 上に挙げたバトルロワイアルはヤクザ映画や時代劇での彼の先進的な試みがいかされたのか海外も含めてその後ジャンルとしてデスゲーム的な作品が次々に次々に作られるきっかけとなりました。彼の作品では以前のブログにも挙げていたバトルロワイアルのきっかけになったのかと私自身が思っているその当時には日本では珍しかったバイオレンス作品であるいつかギラギラする日(1992)が私は一番好きな作品です。 


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フランシス フォード コッポラ             最初の10年までのクオリティの高さを維持してもらいたかったと感じています

 フランシス フォード コッポラ監督はティーブン スピルバーグ監督と比べてやや年齢が上ですが私の感覚から言えばほぼ同時代に活躍してたように感じます。しかし スピルバーグは現在でもかなりのクォリティの作品を発表していますが.コッポラは1980年までの作品とそれ以後ではかなりの差があるように思います。コッポラのベスト作品はゴッドファーザーPARTⅡ(1975)だと私自身は思っているのですが.ゴッドファーザーシリーズは3部作なのですがその中では3作目のクォリティが落ちるように思います。1979年製作の地獄の黙示録までの作品までの1972年のゴッドファーザーや次の作品のカンバセーション 盗聴(1974)などこの当時まだ30代前半とは思えない程の演出力を見せています。スピルバーグも若い時から大活躍しているため何か共通している物を感じていました。70年代のこの4作品はいずれもカンヌ映画祭アカデミー賞で最高賞を取っています。


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 ここまでは何と凄い監督だと思っていたので地獄の黙示録の次のミュージカル映画ワン フロム ザ ハート(1982)に私の好きな女優であるナスターシャ キンスキーが出演しているということもあり公開されるとすぐに劇場に行った記憶があるのですが.期待はずれの作品で残念に思った記憶が鮮明に残っています。この後も当時の若手スター総出演のアウトサイダー(1983)やコットンクラブ1984)やタッカー(1986)なども見たのですがどれもあまりクオリティの高い作品には思いませんでした。強いて言えば1980年代以降で好きな作品と言えば好きな俳優であるキアヌ・リーヴス ゲイリーオールドマン ウィノナ・ライダーが出演していたドラキュラ(1992)ぐらいかなと思います。


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ピーター フィンチ             この20年間のなかでは私のベスト作品(ダークナイト)のヒースレジャーの凄さを見て思い出しました

 アメリカ映画と言えばハリウッド作品に代表される大作が思い出されるのですが.シドニー ルメット監督はハリウッド映画的なハッピーエンドな作品ではない作品を多く撮っているのでヨーロッパ映画が好きな私にとっては興味が湧く作品を発表しています。そんな彼が撮った異色作がネットワーク(1976)という作品でそのなかでニュースキャスター役で出演していたのがピーター フィンチです。映画の内容は過激な視聴率競争をするアメリカの大手ネットワークでの悲劇を描いたものでした 視聴率が落ちたニュースキャスターが番組内で自殺をすると発言してしまう一見滅茶苦茶な話なのですがピーター フィンチの名演により迫真の内容になっています。彼はこの作品でその当時初めて死後にアカデミー主演男優賞受賞しています。


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 クリストファー ノーランダークナイト(2008)は2000年代に入ってからの私のベスト3に入ると思っている傑作でクリストファー ノーランという監督の映像力の強さを知った作品です。私はフェデリコ フェリーニスタンリー キューブリックといった映像にインパクトのある監督が好きなのですがそれに続く監督だと思った作品でした。ダークナイトの中でバットマンに対するジョーカーの役で出演していたのがヒース レジャーでした。今までのバットマンシリーズの中で最もうまい悪役だと思った俳優でしたが.アカデミー助演男優賞を受けた時にはすでに亡くなっていましたピーター フィンチ以上に残念なことだと感じたことを覚えています。


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レイ ハリーハウゼン           ジュラシックパークが公開されて30年経ちますがこういう撮影手法を懐かしく感じます  

 今年はティーブン スピルバーグ監督のジュラシックパークが公開されて丁度30年になるのですが.この作品の少し前に公開されこちらも大ヒットしたジェームスキャメロン監督のターミネーター(1991)でほぼ初めてと言ってよいCGによる映像作品をより発展させた映画だと思いました。唯 私自身は同監督によるターミネーター1984) の方が好きでこちらの作品はたまに見たくなり時々視聴しています。スターウォーズシリーズのエピソード1・2・3にも言えるのですがCGの多用により絵空事感より増してしまうように思うからです。ジュラシックパーク琥珀に入っていた蚊の血液から恐竜のクローンを作ってテーマパークにしてしまうはずが恐竜が暴走を始めてしまうといった内容だったと思うのですが.スピルバーグのうまい演出もなく初期の作品が好きな私としては大雑把な作品に思いました。ターミネーター2の方は1作目と違った意味で当時は面白いと思ったのですが.ジュラシックパークは続編もできる程のヒットはしたのですがスピルバーグの失敗作かと思います。

 レイ ハリーハウゼンストップモーションの技法を使い映像を撮影する製作者でカラー作品が出る前からミュチュアなどを用い動くはずの無い大きいものなどを動かしていました。私が子供の頃にテレビで見たアルゴ探検隊の大冒険(ドン チャフィー監督 1963)という映画が面白い作品だと思った記憶があります。ギリシャ神話から取っているので神であるネプチューン巨大生物が出てきて動く場面や骸骨が動き出して人間と戦うシーンなどがあるのですが撮影方法など今となっては稚拙なところがあるのですが新鮮に感じるところもあります。現在殆どこのような映画は公開していなので偶にあるコマ送りの作品などはつい見てしまうことがあります。


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